〜バンド解体後に「変化」という新境地へ〜
w-mのいしはまです。
いつもレビュー読んで頂いている方々、ホントにありがとね。
少しずつ、ホントに少しずつだけどアーティストを広められている実感があるよ。
俺が紹介出来るアーティストは限られてるし、俺が良いと思ったのしか紹介できないけど、そこで共感を生んでいるなら素晴らしいなって思う。
たまには改まって真面目にレビューを始めたくなりました。
本日ご紹介するのはある意味で変わり種とも言えるアーティスト、ソロユニットのAcidclankです。
(Vol.14・・・2019/2/21)
Mori氏によるソロユニット、Acidclank。
簡単な経歴をご紹介したい。
2014年にMori氏が立ち上げられたソロプロジェクトであり、そのときの音源はBandcampに2作品公開されている。
その後メンバーを集めバンド編成となり、2枚のシングルと1枚のアルバムがリリースされている。
面白いのはその後の現在であり、バンド編成を再度解体するに至り、再びソロユニットとして始動したというところだ。
ライブはバンド編成で行うということなので、個人的には親近感の湧く経歴で興味をそそられた。
本日は2019年にリリースされた新譜「Apache Sound」を中心に語りたいと思う。
・・・だがしかし、それだけではAcidclankの面白さが伝わらない気がしているのが正直なところだ。
字数の許す限り、Mori氏の音楽遍歴も追いながら紹介していきたい。
まずは新譜から一曲ご紹介。今回もこちらの趣味でチョイスさせて頂いた。
「Apache Sound」より、M7の「Shy」。
本作の中でも歌モノ感が強い曲であるように思える。
ギターのリフなどは基本的に繰り返され、ベースやコードワークが展開されていく流れ。
キャッチーな歌メロが乗っているから聴きやすいが、そこで段々と追加される新たなリフが最高のスパイスとなっている。
非常に心地よい。
これで初めてAcidclankを聴いたという方がいるのならば、普通はこのような曲がたくさん入ったアルバムなのかと想像すると思う。
実際、M1からM7までスペイシーなキーボサウンドが用いられたり、丸く柔らかなエレクトロビートが刻まれたりと、方向性はかなり固まった作品と言える。
さて、ここで変則的ではあるが過去の作品を1曲ご紹介しようと思う。
一作品前のアルバム「Addiction」から、リード曲とされているM6「Rocks」である。
悪い意味ではなく、「一般的なバンドサウンド」が感じられたのではないだろうか。
音楽性としてはバリバリUKロックの影響を受けているように感じる。
つまり何が言いたいかというと、前作から今作にかけて大きな変化を遂げているアーティストなのである。
事実、俺はBandcampのものから何まで、過去の作品を全て聴いたが、本作から異色であると言える。
言うなれば「バンドの枠を飛び越えた作品」と言える。
おそらくMori氏の音楽性は幅広いのだろう。
Acidclankにとって過渡期なのかどうかは俺には分かり得ないのだが、俺はこの試みが面白く感じられたのだ。
勝手な想像だが、バンド形態をやめたからこそ生み出されたサウンドであり、一人だからこそ自由さが生まれたのではないだろうか。
形式に囚われないのがかっこよく思ってしまった。
改めさせてもらうが、本日は新譜についてのレビューを中心に行おうと思っている。
しかし俺は、今までの「バリバリのバンドサウンド」も、Bandcamp時代の「ちょっと打ち込み臭のあるバンドサウンド」も、その多くが良いと思うのだ。
この狭い段落で超簡潔に、過去作にももう少し触れさせてほしい。
例えば、引き続き「Addiction」収録で上記にも貼った「Rocks」を聴けばthe cureやOasisの世界観も垣間見えるし、もう一つのシングル作品M4「Lionel」については4つ打ちのキックとベースの絡み、隙間のあるギターリフにより絶妙にダンシブルである。
一方でちょっと邦楽らしい音作りやリフであるM7「Clever」、シューゲイザーらしいギターが空気を漂わせるM9「Sleepwalk」など、すげえ良い曲ばかりなのだ。
これは決して批判のつもりではないが、バンド時代のサウンドは割とあらゆる角度からの聴き方が出来るような作品であり、1曲ごとにジャンルも異なっているように感じた。
またさらに遡ると、Bandcampにてリリースされている2枚のEPも意欲作に感じる。
こちらも聴いてみるとまた違って面白い。個人的にはオルタナ/ガレージに傾倒しつつも意図的にいろんな音楽に挑戦しているように思えた。
いずれにせよ、止めどなく変化し続けるところが実に「アート」らしいと思う。
とても駆け足で過去作を振り返ってしまったが、ようやく本作についても詳しく触れていく。
上記の感想を持ち合わせた上でもう一度言うと、新譜「Apache Sound」は非常にまとまっている。
エレクトロ要素が入り、明らかにギターアプローチが変わった。
上に貼った曲、M2「Apache Sound」も良き曲だ。
ギターは後半に重ねられるのみ、展開はするもののシンプルなリズム隊が続く。
否、シンプルというよりも無駄がないと言った方がいいのかもしれない。
そう、ここぞというタイミングで「無駄ではないフレーズが入る」のが本作品の面白いところ。
ギターなのか、ベースなのか、シンセなのか・・・様々だ。
Acidclankというアーティストのみならず、曲中においても変化を楽しめとは、一本取られた気分である。
ミニマムな構成・音だけど飽きさせない、クールでかっこいい。
M3「Dubs」なんかは夜らしいサウンドでキックが気持ちよく、M5「Ghost Record」なんかは切なくなるような大好きな曲だ。
どれも今までのAcidclankにはない曲だ。
ここまで書き連ねてきて思うこととしては、Acidclankの持ち味であったポップさは忘れられておらず、その表現が変わったように感じたということだ。
特に本作では気持ちよく踊れるダンスビートな音が増えたというところだろうか。
そんな印象を持ちました。
すみません、今回は語りたいことが一杯で語りきれませんでした。
せめて、曲だけでも聴いて頂ければと思ってます。
あと、他サイトにてインタビュー記事なんかもありましたので、気になる方はそちらもチェックすると面白いと思います。
いやー、素直にすごい作曲家だなあと感服です。
そして最後に紹介するコーナー「俺的おすすめコレ1曲」では敢えて、本アルバムでラストの曲を飾る「Addict Of Daydreaming」にした。
これまでさんざん「エレクトロ要素が〜」とか言ってきたが、それが裏切られる一曲。
つくづく面白いアーティスト様だと思っていて、今後どう「変化」していくのか、個人的には要チェックです。
-俺的おすすめコレ1曲-
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